1959年制定の最低賃金法に基づき、国が定める賃金の最低限度をいう。最低賃金の額に達しない賃金を定める労働契約の部分は無効となり、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされる。大別して、地域別最低賃金と特定最低賃金(産業別最低賃金)の2種類があり、いずれも47都道府県ごとに時間額を単位として定められる。2007年11月に成立した改正最低賃金法には、地域別最低賃金を決定する際の考慮要素となる労働者の生計費について「生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする」との定めが置かれ、いわゆる底上げ戦略の観点から、地域別最低賃金の額は08年改定により、全国加重平均で703円と、初めて700円台を記録した。また、10年には東京と神奈川が800円を超え、13年現在、全国加重平均は764円、東京869円、神奈川868円、大阪819円と、この1都1府1県で地域別最低賃金が800円を上回る現状にある。その結果、東京では地域別最低賃金が鉄鋼を除くすべての産業別最低賃金を上回ることになり、事実上地域別最低賃金に一本化される方向にあるが、このような動きは今後他府県にも広がるものと思われる。