労働組合が使用者との間で締結する契約の一種。労働協約の内容は、(1)労働組合と使用者の間の権利義務関係について定めた「債務的部分」と、(2)組合員の労働条件その他の待遇に関する基準について定めた「規範的部分」に大別される。労働組合法は、労働協約中の規範的部分に法規範としての効力(規範的効力)を認め、労働者の待遇に関する基準に違反した労働契約の部分は無効となり、無効となった部分および労働契約に定めのない部分は、基準の定めるところによると規定する(16条)。ただし、労働協約に労働条件に関する規定が置かれる場合にも、労働条件について組合員と組合員でない者との間に差異を設けることは事実上できないため、詳細は就業規則に委ねるものが多い。なお、有効期間の定め(最長3年)のある労働協約は期間の満了により失効し、有効期間の定めのない労働協約も90日前に予告すれば解約できる(15条)が、労働協約が失効しまたは解約された後も、就業規則の一部としてその内容が当事者を拘束すると解される場合が少なくない。