トヨタ生産方式実践の際に最重視される、可視化度を高め情報共有を効果的に行うための基本的な考え方。同社の社内向け教科書によれば、「(生産)ラインの状況がだれにでもすぐ分かるようにしておくと、管理者はこのラインはうまく行っているかどうかがすぐ分かる。監督者は自分が今何をしなければならないかが分かる。工場スタッフや製技部門も何が改善点かすぐ分かり自分たちの仕事にフィードバックできる。……問題がはっきりしていれば改善案は皆で知恵を出し合ってできる。さらに、異常管理に集中できるので管理範囲(能力)が増大する。組長、班長は何本ものラインを一人でもてるし、工務の部品係は取扱い点数が非常に多くても対処できる。」と説かれている。実際、生産状況の卓越した可視化や一目瞭然化は、各自の業務の意義・効果ならびに自他工程間にまたがる相互依存性の明確化・客観化を容易にしてくれる。その結果、可視化度の低い職場に比べ、働く人々に強い内発的な学習意欲や全体最適化意欲が喚起されやすくなる。このような状況下で各種教育訓練機会を提供すれば、ボトムアップ方式による継続的かつ効率的な能力強化が可能となる。ただし、このような良循環が継続していくためには、従業員自らの働きがいと社会的存在としての自社のミッション・ビジョンとを効果的に結びつけ、一体化させるための組織経営(思想)が不可欠である。