企業による採用の意思表示。単に内定ともいう。日本の場合、新規学卒採用については4月一斉採用が慣行として定着しているが、日本経団連の「採用選考に関する企業の倫理憲章」によれば、卒業・修了学年の4月1日以降に選考活動を開始し、正式な内定日は10月1日以降とするとされている。誓約書の提出と相まって、採用内定の段階で、解約権留保付きの労働契約が成立すると解するのが判例の立場。したがって、内定取り消しは、使用者による労働契約の解約(解雇)に当たり、通常の解雇と同様に、客観的に合理的で社会通念上相当と認められる理由が必要となるが、いわゆる内々定の段階では労働契約はいまだ成立していない(ただ、内々定が取り消された時期が正式内定の直前といったような場合には、損害賠償請求が可能となる)と解されている。なお、不況が深刻化し、内定取り消しが社会問題化するなか、2009年1月以降、内定取り消しを行おうとする企業には、ハローワークへの通知が義務づけられるとともに、2年以上連続して内定を取り消した企業や、同一年度内に10人以上の内定取り消し者を出した企業については、企業名を公表する等の措置が講じられるに至っている。