就業規則に定める労働者の権利や労働条件を労働者に不利益な形で変更すること。判例は「賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす」就業規則の変更については、「そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的な内容のものである」場合に限り、その効力を生ずるとする。また、このような判例の蓄積をもとに、労働契約法は「変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」(10条本文)と規定している。ただ、どのような場合に就業規則の変更が合理的であると裁判所が判断するのかを前もって予測することは、依然として容易ではない。