ベアと略称。古くは「増給」ともいった。賃金表(公務員では俸給表や給料表)に定める賃金の額を増額改定すること。例えば、2級1号俸を2級5号俸に昇給させる等、賃金表に定める号俸がアップすることを意味する定期昇給(定昇)とは、その意味が異なる。労働基準法により「昇給に関する事項」は就業規則の必要記載事項とされている(89条2号)が、ここでいう「昇給」は「ベア」ではなく「定昇」を意味するものと考えてよい。パート労働法により、パートタイム労働者を雇い入れたときに文書の交付により明示することが義務づけられる「昇給の有無」(6条1項にいう「特定事項」)についても同じ。デフレ経済が長引く中、ベースアップ要求を控えてきた労働組合も、アベノミクスの下、「定昇」の維持に加え、一斉に「ベア」を要求する方向に転換しつつある。