企業が従業員に対し、副業や兼業(二重就業)を禁じること。わが国では、特に正社員については、就業規則で副業や兼業を禁止している企業がいまだに多い。こうした中、2017年12月に厚生労働省の「柔軟な働き方に関する検討会」は、「労働者が主体的に自らの働き方を考え、選択できるよう副業・兼業を促進することが重要である」として、その推進を図ることを提言し、注目を集めた。具体的には、「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」と定めた、現行のモデル就業規則にある副業・兼業関連規定(「労働者の遵守事項」の一つとして規定)を削除し、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」ことを明示した、副業・兼業に関する規定の新設を提唱している。ただ事業主が異なる状況下の二重就業者に対し、労災保険や雇用保険、厚生年金保険や健康保険をどのように適用していくかなど、未解決の問題も少なくない。