1991年7月に発表された、構造調整プログラムの一環としての市場開放・経済自由化政策。インドは47年の独立以来、国内産業保護による経済自立政策を基本に、輸入代替政策を実施した。しかし、91年の国際収支危機を契機に経済自由化路線に転換した。政府は、外国直接投資の導入に積極的で、経済特区をその切り札と考えている。年々、外国企業の、政府事前承認を必要としない、出資比率制限のない参入分野は拡大してきており、卸売業など多くの分野で出資上限の引き上げ、投資認可手続きの簡素化といった規制緩和も進んでいる。業種については、ポジティブリスト(投資可能業種を提示)方式から、ネガティブリスト(投資禁止・規制業種や制約のみを提示)方式へ変更され、リストに該当がなければ出資比率100%まで自動認可されるようになった。2006年には小売業での外資規制が制限つきで緩和された。順調に拡大する外資導入だが、課題も多く、発展に追いつかないインフラの未整備、とくに電力供給量の絶対的な不足や、港湾、道路整備の遅れによる物流能力への対応は最重要課題である。電力対策では、建設から運営までを民間資本に一貫委託して、5カ所に400万kW級の火力発電所を新設するウルトラメガ・パワー・プロジェクトを推進し、物流対策でも、デリー、ムンバイ(旧ボンベイ)、チェンナイ(旧マドラス)、コルカタを結ぶ全長約5800kmの高速道路、黄金の四角形(黄金の四辺形 GQ Golden Quadrilateral)がほぼ完成、さらに、大陸を南北、東西に結ぶ全長約7300kmの高速道路、南北東西回廊(North-South Corridor, East-West Corridor)を建設するなど、援助や民間資本を活用した整備を進めている。