キヤノンがハノイの工業団地に入居したことでもたらされた、産業クラスターによる北部ベトナムの地域的な経済発展。北部では、ハノイに住友商事が、ハイフォンに野村証券が工業団地を建設、さらに日本国際協力銀行が中心となってハノイ‐ハイフォンを結ぶ国道5号線を建設し、ハイフォン港を改修するなど、インフラ整備が進んだ。政府も投資手続きの簡素化、税制優遇による外資導入を図った結果、ハノイのタンロン工業団地にキヤノンが入居したことで、関連企業が北部の工業団地に多数入居し、産業クラスターが形成された。ベトナムでは、2005年に対内直接投資が大幅に増大した。中国と比較して賃金が安く、中国一極集中を避けるリスク分散となるからで、日本企業も、ブラザー、シチズン時計、リズム時計、NECトーキンなどが北部に工場を新・増設。06年に、キヤノンは約130億円の投資で新工場を建設する。また、インクジェットプリンターなどの生産で世界トップをめざし、10年に生産能力を3000万台に引き上げる計画。