日本政府によれば、自由貿易協定(FTA free trade agreement)は物品の関税撤廃であり、EPAはそれのみならず、サービス、貿易、投資の自由化、人の移動(看護師、介護士)、産業別人材交流などを含む包括的な内容、と定義される。FTAは発効後10年以内に約97~100%の関税撤廃を予定する協定。日本の対アジアEPAの動向は、シンガポールとは2002年11月に、マレーシアとも06年7月に、タイとは07年11月に発効した。また、フィリピンとは06年9月に署名、インドネシアとは07年8月に署名、ブルネイとは07年6月に署名が済み、ベトナムとは07年1月から交渉を開始、インドとは07年1月に交渉を開始した。このほか、韓国とは中断状態が続いている。日本とASEAN(東南アジア諸国連合)との共同市場をめざす日本ASEAN包括的経済連携協定は、04年11月の日ASEAN首脳会議で交渉開始に合意し、05年4月に交渉を開始、07年11月に交渉が妥結した。また、日本と中国のEPAも締結の必要性が語られているが、その時期を左右する要因として、(1)歴史認識をめぐる両国の違い、(2)農業分野の市場開放問題、(3)日本のスタンスがEPAよりは投資協定を優先しようとする点、(4)日本が中国を市場経済国と認定するかどうか、がある。