ベトナム、ラオス、カンボジア、タイ、中国、ミャンマーによるメコン河流域の開発プログラム。GMS(拡大メコン地域)の総面積は255万km2で、人口は約3億人に達する。開発はアジア開発銀行(ADB)が主導し、国際的な枠組みで進められており、道路を軸として域内の貿易・投資を拡大させる経済構想が具体化しつつある。ADBはメコン地域開発を1992年から開始し、信頼醸成期、協力の枠組み作り期、プロジェクト準備期を経て、2000年から本格的な実行段階に入った。ADBの中期政策目標として、インフラ整備、民間部門開発、環境保全、人的資源開発をめざす。南北経済回廊、東西経済回廊、南部経済回廊など11のプロジェクトが進んでいる。域内主要都市間の道路通信網は、12年までに整備される見通し。上記経済回廊のうち、南北経済回廊は、中国・昆明とタイ・チェンライ、昆明とベトナム・ハノイを結ぶ2ルートからなる。東西経済回廊は、ベトナム・ダナン、ラオス・サワナケット、ミャンマー・モーラミャインを結び、南部経済回廊は、タイ・バンコク、カンボジア・プノンペン、ベトナム・ホーチミンを結ぶ。また、インフラ整備と併せて、通関手続き簡素化などの中期的プランを12年までに策定している。タイは、06年に完成した東西経済回廊に、タイ・チェンライ、ラオス・サワナケットなど、国境を越えた4カ所の産業クラスター形成を提案している。