政府が融資や補助金、優遇税制措置などによって特定の産業を育成する開発政策。第二次世界大戦後の日本で採られた石炭産業や鉄鋼産業の育成が、産業政策の典型とされる。その後も、1970年代に韓国、90年代に中国で採用され、経済発展に一定の効果をもたらしたとの評価を受けた。しかし、97年に始まったアジア通貨危機以降は、資金配分にゆがみを生み、経済の効率性を悪化させるとの否定的な見解が支配的になった。インドネシアは99年、インドは2001年に、産業政策を廃止した。現状では、アジアでの産業政策に対しては否定的な考え方が支配的である。しかし、ミャンマーは繊維産業に対して輸入代替政策による育成を継続するなど、なお産業政策を堅持する国家も多い。中国でも、05年に発表された新鉄鋼産業発展政策では外資参入のハードルを引き上げ、国内産業の育成をめざすとともに、政策に合致しないカーバイド炉の生産停止、企業の集中度を高める、などの方針を打ち出すなど、現実には産業政策はなくなってはいない。