2010年、尖閣諸島問題の発生を契機として発生した中国のレアアースの対日輸出停止措置。レアアース(希土類)は、たとえば、ネオジムがハイブリッド車のモーターに使う強力な磁石の原料になるなど、ハイブリッド車や液晶基板の生産などに不可欠な資源である。世界各地に埋蔵されるが、価格競争などの結果、中国が世界生産の9割を占めるに至った。10年、中国は国内経済の発展による需要増や自国資源の保護の観点から、レアアースの輸出許可枠を前年比4割減らすことに決め、レアアース輸出規制を実施した。10年9月に尖閣諸島問題が起きると、レアアースの対日輸出が停止する事態となった。また、外紙の報道では、欧米からレアアースの輸出停止に対する批判があがると、停止の対象は欧米にまで拡大した。中国政府は禁輸指示の事実を否定し、その後、段階的に輸出停止は解除された。しかし、当初の輸出枠削減の方針に変化はなく、10年12月には11年前半のレアアース輸出許可枠を1万4446トンへ、35%削減するとの発表がなされた。一連の出来事によりレアアースの中国一極への依存リスクが表面化したことから、世界的に供給先の多様化を模索する動きが広まっている。