インドの外資導入政策における最大の懸案。12億人以上の国内市場への参入は外資にとって大きな魅力だが、複数のブランドを扱うスーパーマーケットなどの総合小売業は、外資の現地企業への出資は禁止されている。政府は規制緩和の一環として、2011年11月24日に、閣議決定で総合小売業への外資の出資を51%まで認めた。出資額1億ドル以上、出資の50%以上を物流、製造に投資、加工食品などは中小企業から30%以上を調達、出店は100万人を超える都市に限定、などが条件とされた。しかし、議会、州政府をはじめ反対の声が噴出したため、12月7日には決定は保留されることになった。規制緩和推進派は輸送網の整備による廃棄食料品の減少、インフレの抑制、農家の所得増などのメリットをあげるが、反対派は、インドの総合小売業の主流であるキラナ(Kirana)とよばれる零細な個人商店(町の雑貨屋)の存続の危機をあげて批判を強めた。これまで、インドでは、1997年に卸売業への外資の100%出資を解禁し、2006年には単一ブランドを扱う小売業への外資の出資を51%まで認めるなどの規制緩和を進めていた。保留は「利害関係者のコンセンサスが得られるまで」とされ、解除の時期は示されていない。