国際通貨基金(IMF)のDuval氏などが定義した、1人当たり国内総生産(GDP)が2000~1万5000ドル(2005年固定価格PPP〈購買力平価〉)の中所得国が陥る状況。新興国は、人件費の安さなどを武器に経済成長を果たし中所得国の段階に至る。しかし、人件費や生産コストが上昇し、後発新興国の追い上げや先進国との技術格差などに直面して競争力が低下し、先進国入りができずに成長が停滞する現象をさす。中国は、12年に国として1人当たりGDPが6000ドルに達し、かつて中南米が経験した停滞状況を警戒している。これを避けるために、匡賢明・中国改革発展研究院経済研究所所長は、これまでの投資、人口、グローバル化のボーナスによる成長から、市場化、内需、社会発展による成長に転換すべき、との考えを表明している。13年8月、中国国務院常務会議は成長の安定、改革の促進とともに、構造調整の重視を打ち出した。また、民間資本、海外資本の市場条件の緩和方針も決定している。