タイから、タイでのサプライチェーンに組み込まれるカンボジア、ラオス、ベトナム、ミャンマー4カ国への工場移転。陸路で移転できるメコン地域の国への工場建設が特徴。タイの賃金の高騰や、2011年に起きた洪水リスクを受けての動き。移転先のメコン諸国の拠点がサプライチェーンの一部として、生産ネットワークに組み込まれる点で、単純に、例えば労働集約型の縫製業がより安い賃金を求めて、別の国に生産拠点を移す行為とは異なる。移転の受け皿となっているのは、カンボジアの首都プノンペン、ラオス南部サバナケットや首都ビエンチャンなどである。13年8月に発表された日本貿易振興機構(ジェトロ)の調査では、ミャンマー・ダウェー、タイ・バンコク、カンボジア・プノンペン、ベトナム・ホーチミンを結ぶ南部経済回廊、ミャンマー・モーラミャインからタイ、ラオスを抜けベトナム・ダナンを結ぶ東西経済回廊が、サプライチェーンの連結性を支える。タイプラスワンの今後の発展は、東南アジア諸国連合(ASEAN)や東アジア地域の統合の深化による関税、通関検査等のコスト低減に左右されると見られる。