2010年に準備、策定されたベトナムの開発戦略。11年初頭の第11回共産党大会で承認された。国家開発戦略は、国の長期的な開発ビジョンを示すとともに、政府の「5カ年国家開発計画」、各セクターの開発計画に方向性や指針を与え、これまで解決されていない課題の解消を目指すものであった。同戦略により、社会主義を指向する市場経済の制度を完成させるとしている。主要目標は、経済、文化・社会、環境の3分野からなる。戦略として、第1に社会主義を志向する市場経済の制度を完成し、また平等な競争環境づくりおよび行政改革を中心とする。第2に高度な人的資源を早期に発展させ、国民教育の全面的な改革に集中する。第3にインフラシステムを構築し、交通システム及び大都市インフラに集中する。第4に工業国の基盤を構築するためにグローバルなバリューチェーンに参入できる商品の開発を優先する。工業団地の効果を発揮し、ハイテクパークの建設工事を竣工させる。第5に持続性のある農業を全面的に発展させる。ベトナムにおいては,従来の安い労働力を活かした外資誘致による成長モデルは近い将来立ち行かなくなるという危機感がある。一層の工業化、近代化、生産性及び効率性の改善のために、「国営企業改革」や、経済成長に伴う急激な都市化、拡大する地域間格差及び「貧富格差」の是正、キャパシティー・ビルディングであるインフラ投資や社会保障への対応などが重要な課題として認識された。