世界の最貧困地域において経済成長と協力を助長するアジアの金融機関として、ESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)により発案され、1966年に創設された。本部はフィリピンのマニラに設置。発足時31だった加盟国・地域は、2015年末現在でアジア・太平洋地域48カ国・地域を含む67に増加した。出資比率は、日本が全体の15.6%、アメリカが15.5%で、借入加盟国の中国も6.5%を出資する。初代の総裁は、日本の大蔵省(現・財務省)出身の渡辺武。16年度末時点の総裁は、日本の財務省出身の中尾武彦である。ADBが08年4月に策定した、20年に向けて採るべき方向性、役割を示した長期戦略の枠組み「2020年戦略」(strategy2020)をもとに実施される「アジェンダ」は、包括的経済成長、持続的成長、地域統合である。その中核となる事業として、インフラ、環境、地域統合、財政部門開発、教育の5事業分野を置く。事業分野にADB全体の80%の貸し付けが行われ、そのうち、インフラでは水事業、エネルギー政策、運輸、都市化などがある。また、保健、農業と天然資源、公共部門管理の事業も限定的に実施する。