出改札データの書き込み・読み取りや乗車料金の自動計算、少額決済などを処理するICチップ(集積回路)を内蔵した、事前入金(チャージ)式乗車券。事前支払い(プリペイド)式の磁気ストライプ型カード乗車券を情報処理量・機能ともに圧倒し、繰り返し使えて、定期券としても利用できる。事前入金は券売機などから現金でSF(Stored Fare ストアード・フェア 登録金額)に換える方式と、クレジットカードからの自動登録(オートチャージ)方式がある。日本では、ソニーが開発した非接触ICカード技術方式FeliCa(フェリカ)が採用されており、自動改札機の「タッチアンドゴー」でラッシュ時の改札口通過時間が短縮できる他、日常的な小口の買い物に役立つ電子マネー機能も持つ。2001年11月にJR東日本が東京近郊区間でSuica(スイカ)を発売したのを皮切りに、JR西日本のICOCA(イコカ 03年11月発売)、阪急電鉄など関西方面共通のPiTaPa(ピタパ 04年8月発売)、JR東海のTOICA(トイカ 06年11月発売)、東京メトロなど首都圏共通のPASMO(パスモ 07年3月発売)などが相次いで登場。SuicaとICOCA、SuicaとPASMO、ICOCAとPiTaPaは相互利用も可能で、08年3月からは、SuicaとICOCAとTOICAの相互利用も開始され、利便性を増している。08年10月導入のKitaca(キタカ JR北海道)が09年3月にSuicaとの相互利用を開始したほか、09年3月導入のSUGOCA(スゴカ JR九州)も、Suicaら4カードと10年3月に相互利用を開始し、13年春からはJR5社と私鉄大手5社の10種のカードで日本全国の51鉄道と149バス事業者の路線が利用できるようになる予定。政府のイノベーション推進大綱(07年5月)には、中国、韓国など東アジア諸国の交通機関でも利用できる共通ICカード乗車券を導入するプロジェクトが盛り込まれ、規格の検討などが進められている。