炭素隔離とも呼ばれ、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を地中深く封じ込める地球温暖化対策技術。石炭、石油、天然ガスなど、化石エネルギーの生産・消費に伴い排出されるCO2を隔離(分離・回収・貯留)するCCS技術(Carbon Capture and Storage)として実証導入が期待されている。油田・ガス田や火力発電所・製鉄所などの大規模排出源から分離回収したCO2を圧縮輸送し、地下あるいは海底下1000mほどの帯水層に圧入することにより溶解固定化する。アルジェリアのインサラ・ガス田(2004年~)や、ノルウェー沖250kmの北海スライプナー・ガス田(1996年~)など実用化プロジェクトも増えており、途上国でのCO2削減分を先進国が排出権として得るクリーン開発メカニズム(CDM)を適用する動きも出てきている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「二酸化炭素の回収・貯留に関する特別報告書(SRCCS)」(2005年9月)では、世界全体の貯留可能量を少なくともCO2換算で2兆t(04年の世界の総排出量は約260億t)と試算しているが、投資コストやリスク評価面の課題もある。08年にはイギリスで官民共同による大型実験が始まり、国内に最大で1500億tの貯留が可能(地球環境産業技術研究機構)とされる日本でも、政府と民間企業による大規模実験の計画が進められている。