生体認証。人間の身体的特徴としての生体情報を個人の識別・認証に利用する技術。犯罪捜査では1970年代からコンピューターによる指紋照合技術が発達しているが、近年は照合対象が掌形、顔(目、鼻、眉、口、頬などの配置、輪郭)、耳介、声紋、目の網膜や虹彩、手のひらや指の静脈パターン、手書き署名、DNAなど多彩な広がりを見せている。建物・施設への入退館管理、電子商取引上の本人確認、住民基本台帳や顧客データベースなどの機密保持など、社会生活や経済活動にかかわる安全対策や防犯ニーズの高まりから用途が拡大し、アメリカでは2004年から、US-VISITプログラム(VISITはVisitor and Immigrant Status Indicator Technology)と呼ばれる新たな出入国管理システムを導入している。日本でも06年5月の入管法改正で指紋登録カードによる出入国手続き自動化ゲートの導入が進められ、シンガポールでも06年8月から指紋や顔形を記録した電子パスポート「BioPass」が発行されている。銀行などのキャッシュカードにも静脈認証を導入する動きも活発化して需要の増大が見込まれる。