光を受けて化学反応を促進させる物質。半導体と色素(有機金属錯体)があり、植物の光合成を行う葉緑素もその一種。半導体の酸化チタン(TiO2)による効果は、1967年に藤嶋昭、本多健一の2人の日本人学者によって発見され、環境問題の解決にも役立つ基礎技術として関連特許の大半を押さえ、実用化面でも日本が世界をリードしている。酸化チタンは有害物質を酸化分解する機能(大気・水質・土壌など環境浄化作用、脱臭・抗菌・防汚作用)と、表面に超親水性(濡れても水滴を作らず薄膜のように吸着する)をもたらす機能の特性から、セルフクリーニング効果のあるガラスやタイル、掃除機、空気清浄機、冷蔵庫、道路舗装用塗布材、カーテン、壁紙・障子紙、下着、人工観葉植物など、多様な製品に適用されている。トマト水耕栽培の養液浄化や、がん細胞増殖抑制に役立てる研究も進行中。酸化チタンは、太陽光の3%である紫外線に反応するが、可視光の領域でも応答する技術開発が進むことによる利用価値の増大が期待されている。欧州連合(EU)では、ナノテクノロジー研究開発計画の環境テーマ関連でPICADAプロジェクト(汚染除去のための革新的な光触媒コーティング材評価)が進められ、コンクリートやモルタルなど建設資材への応用が期待される。