ポリアミド（PA）やポリフッ化ビニリデン（PVDF）などの高分子化合物樹脂を素材に直径10マイクロメートル（マイクロは100万分の1）程度から1ナノメートル（ナノは10億分の1）級の超微細な孔（穴）を多数開けて製造するろ過膜。ストロー状の管に成型したものは中空糸膜と呼ばれる。孔のサイズや圧力差で不純物の透過を防いで水を浄化する技術の核をなし、家庭用浄水器から上下水道設備、排水処理施設、再生水リサイクル、純水製造など水の利用に欠かせない。孔径と機能から精密ろ過膜（MF膜）、限外ろ過膜（UF膜）、ナノ膜（NF膜）、逆浸透膜（RO膜）などの種類があり、水以外のイオンや塩類等を透過しない逆浸透膜は海水淡水化に用いられる（スペースシャトル内の水リサイクルにも活用）。世界的な水資源不足に加えて、BRICs経済の発展などで水需要が増大し続けており、生産能力の拡大競争も熱を帯びている。