生体内に侵入・発生した抗原(病原菌やがん細胞などの異物)を標的に、抗体(たんぱく質の一種)が作られ、抗原の働きを抑制・排除する免疫機能を利用した医薬品。遺伝子組み換え技術など、バイオテクノロジー(生物工学)を応用したバイオ医薬品の領域に属し、患者の細胞の免疫力を高めて用いる細胞医薬の開発も動き出している。副作用のない治療効果が期待され、1970年代から研究開発が始まった。ヒトゲノム(人の全遺伝情報)の解析により展開されるゲノム創薬の過程で、ヒト抗体の開発が進み、がんやリウマチ、ぜんそくなどの治療薬分野で有望視される。アメリカで開発中の抗がん剤約400種の3分の1は抗体医薬である。2005年までに18品目が発売され、150億ドル以上を売り上げた。世界の製薬企業大手は、抗体医薬を含む生物材料を起源とする生物製剤で売り上げの25%以上を構成しつつあり、「25%クラブ」を標榜する。