人体組織に本来備わっている自己治癒力を促し、また細胞や遺伝子を用いて新たな臓器、組織を形成して身体機能を再生する医療手法。受精卵から分離され、あらゆる組織や細胞に分化成長する潜在力を持つ万能細胞(胚性幹細胞 ES細胞[Embryonic Stem Cell])の研究が基礎となるが、生命倫理上の問題から、成人体内の体性幹細胞を基にした研究も進められている。体性幹細胞は、万能細胞より分化は進んでいるが組織、臓器に成長する潜在力を持ち骨髄細胞がその代表例。クローン技術や受精卵を扱うES細胞研究の倫理的規制、医療特許など事業化を促進する制度、保険適用拡大などの課題に取り組みながら、培養皮膚、流動骨、血管再生薬などが実用化されてきている。文部科学省では、2003年度から幹細胞利用技術の確立を目指す「再生医療実現化プロジェクト」に、10年間で230億円の予算で取り組んでいるが、07年には京都大学再生医科学研究所により、体細胞に由来し万能性を持つ誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を作る成果もあげられている。