麻薬売買、不法賭博、売春、詐欺、脱税、収賄など、犯罪行為で得た収益を、合法的な商取引を介在させて出所不明にするマネーロンダリング(資金洗浄)や、テロ組織間の資金の移動を監視する法律。金融機関やクレジット業、不動産業、貴金属等売買業、郵便物受取・電話受付サービス業などの特定業種をゲートキーパー(門番)として、顧客の本人特定事項確認、取引記録の保存、疑わしい取引の届け出を義務付けている。1989年にフランスのアルシュ・サミットでパリに設置された、国際的なマネーロンダリング対策推進組織の金融活動作業部会FATF(Financial Action Task Force)が2003年に出した勧告を受けて、07年に制定施行された。弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士の5“士業”は守秘義務との相反から届け出義務の対象から外されたが、FATFの審査により、勧告不履行と判断される可能性もある。国際通貨基金(IMF)は、マネーロンダリングの規模を世界の国内総生産(GDP)合計の2~5%と推計。世界の主要12銀行で構成され、日本からは三菱東京UFJ銀行が参加する協力組織ウォルフスバーグ・グループ(Wolfsberg Group)も、基軸通貨ドルの国際送金で透明性を高めるなど、防止対策の指針作りに取り組んでいる。