企業の内部統制ルールに基づく会計監査の強化を求める法規制(J-SOX)。証券取引法を抜本改正し、2006年6月7日に成立、07年9月30日に完全施行した金融商品取引法(通称、金商法。準備段階では投資サービス法と仮称)に盛り込まれた。大掛かりな不正会計、粉飾決算による、アメリカのエンロン、ワールドコムの破綻を踏まえて、02年に制定された、企業改革法(サーベンス・オクスレー法 Sarbanes-Oxley Act of 2002、略称SOX法)を手本とする。会計処理に伴う法令順守(コンプライアンス)を徹底し、財務報告の正確性、信頼性を保証する内部管理体制の構築と評価および監査にわたる実態開示(内部統制報告書の提出)が、08年4月1日以降の事業年度から全上場企業に義務付けられる。07年2月に金融庁が「実施基準」を公表し、09年の3月期決算から適用されたが、その手法にはIT(情報技術)の利用が促されている。業務の効率化につながる処理手順を標準化し、リスク回避策と併せて文書化する必要がある。また、文書保管需要の急増に伴い、倉庫事業や電子データ化による文書管理サービスも商機を広げつつある。06年5月1日施行の会社法でも、内部統制システムの構築義務を定めており、企業経営の自己規律が厳しく取り締まられる。