複数の投資家から資金を集めて金融商品や不動産商品などに投資し、運用利益を分配する基金。証券会社や銀行の窓口で売られる投資信託を含め、投資の対象や方法、仕組みによりさまざまな種類がある。(1)経営不振の企業や業績低迷の事業部門を買収し、価値を高めて売却する買収ファンド、(2)損失リスクを回避するため、株式、債券、為替から金融派生商品はもとより、石油、天然ガス、金、銀、穀物などの市況商品まで広範囲に短期売買を繰り返して値ざやを稼ぐヘッジ・ファンド、(3)非上場株式に投資して株式公開益を得るプライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)、(4)未上場中小企業に投資するベンチャー・キャピタル・ファンド(VCファンド)、(5)上場廃止企業を買収して事業を立て直し、再上場させる再生ファンド、(6)著作権・特許など知的財産権に投資するコンテンツ・ファンド、(7)映画、競走馬、絵画、石油鉱区権など指定物品に投資する現物ファンド、(8)株式支配により経営権を握り、資産の切り売りで利益を上げ、企業自体を毀損させてしまうハゲタカファンド、(9)国家保有の外貨準備を株式や債権で運用する、政府系のソブリン・ウエルス・ファンド(国富ファンド)などがある。低金利情勢を背景に隆盛を示しており、アメリカ財務省は、ソブリン・ウエルス・ファンドの資産規模を1.5兆~2.5兆ドルと推計する。ヘッジ・ファンドは世界で約9000も登場しており、運用資産総額は約180兆円に達すると見られる。07年8月に、アメリカの低所得層向け住宅融資サブプライムローンの焦げ付きから、これらを担保証券化した金融商品を組み込んだファンドが苦境に陥り、世界の金融市場に波及した。08年10月には過去最大の620億ドルの資産が流出し、同月末の運用資産総額も約1兆6500億ドル程度に落ち込んだ。