民法上の任意組合と株式会社の利点を兼ね備えた新しい事業組織形態。2005年8月1日に施行された「有限責任事業組合契約に関する法律」により誕生した。2000年に制定されたイギリスのLLP法(Limited Liability Partnership Act 2000)の先進事例を踏まえて、日本版LLPとも呼ばれる。(1)出資者(構成員)全員の有限責任制、(2)経営の意思決定や利益配分の方法などに法的な制約を受けない内部自治原則、(3)LLPに法人税が課されず各出資者に課税されるため、損益通算による節税効果を得られる構成員課税(パススルー税制)の優遇された特徴がある。専門職能を持つ個人、特殊技術を有するベンチャー、資本に恵まれた大手企業、知財戦略を強化する大学などの連携や共同事業を促し、人的資産を生かした起業のダイナミズムと産業競争力の増大につなげることを狙いとしている。経営コンサルタント業やソフトウエア開発・コンテンツ制作の業種を中心に、07年12月までに2600件以上設立された。また、06年5月1日に施行された会社法では、アメリカのLLC(limited liability company)にならった合同会社(日本版LLC 株式会社に組織変更できる点などがLLPと異なる)の設立も認められる。ただし、日本版LLCの場合はパススルーではなく、法人税を課される違いがある。