ミャンマーのモーラミャイン港から、タイ、ラオスを抜けてベトナムのダナン港まで、北緯17度線に沿ってインドシナ半島を横断する、全長1450kmの全天候型高速道路。太平洋とインド洋をつなぎ、東西回廊とも呼ばれる。建設資金17億ドルの約3分の1が、日本からの経済援助(円借款供与)で調達された。アジア開発銀行の大メコン圏経済協力プログラム(GMS構想 GMSはGreater Mekong Subregionの略)に基づき、1998年の大メコン圏地域閣僚会議で承認された幹線道路整備プロジェクトで、2006年12月にタイのムクダハン県とラオスのサバナケット県を結ぶ第2メコン国際橋(全長1600m)が開通し、主要路線が完成した。メコン川は長江、黄河に次ぐアジア第3の大河で、流域の旧フランス領インドシナのカンボジア(Cambodia)、ラオス(Laos)、ベトナム(Vietnam)の3国は、頭字語からCLVと称され、外交通商上からも注目度を増している。タイとラオス間、ラオスとベトナム間にはトラックの相互乗り入れ協定が結ばれ、タイに工場進出している日系の部品産業(約5000社)から陸上輸送による定期便運行も計画されている。タイのバンコクからベトナムのハノイや中国の上海まで、海上輸送の物流ルートに比べて所要日数が大幅に短縮されるが、輸送コストが上回る課題もある。メコン川流域圏の経済社会的発展と所得増大を目指すGMS構想ではさらに、(1)南北経済回廊と、(2)南部経済回廊(第2東西経済回廊)の建設プロジェクトが進行中。(1)には、タイのバンコクからチェンライを経て、ラオス、ミャンマーを挟み、中国雲南省昆明に至るルート、昆明からベトナムのハノイを経てハイフォン港を結ぶルート、ハノイと中国広西チワン族自治区の南寧を結ぶルートの3ルートがあり、(2)には、バンコクからカンボジアの首都プノンペンを経てベトナムのホーチミンを結び、ブンタウ港に至るルートと、タイ~ベトナム間の海岸線ルートの2ルートがある。