ロシア・サハリン島北東部沖で日本が参加する天然ガス・石油資源開発プロジェクトの一つ。事業主体となるサハリン・エナジー(SE Sakhalin Energy)は、1994年に英蘭のロイヤル・ダッチ・シェル(出資比率55%)、日本の三井物産(25%)と三菱商事(20%)が出資して設立された。推定可採埋蔵量は原油約11億バレル、天然ガス約5000億立方メートル。99年から原油採掘プラットフォーム1基が稼働しており、天然ガス採掘プラットフォーム2基と全長1900キロの海底パイプライン、および島縦断パイプラインで結ぶLNG(Liquefied Natural Gas 液化天然ガス)プラントなど、08年に完了した陸上施設の建設では、三菱商事と双日の鉄鋼事業統合会社メタルワンが、330億円のガス輸送用鋼管を受注。LNGの年間生産能力962万トンは世界最大級の規模で、09年開始の日本への輸出量は日本のLNG輸入量の16%に相当する。環境問題に配慮したパイプラインのルートや工法の変更もあって出荷開始が07年末予定からずれ込んだ経緯があり、当初の総事業費100億ドルが200億ドルに膨らんだ。環境保全とPSA(Product Sharing Agreement 生産分与契約)などに絡むロシア側の権益の要求から、06年12月にSE株式の50%+1株がロシア政府系の天然ガス独占企業ガスプロムに74億5000万ドルで譲渡されたことにより、欧州復興開発銀行(EBRD)は融資計画を取り止めた。