天然ガス輸出国版のOPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countries 石油輸出国機構)として構想される国際カルテル(価格・生産量調整協定)同盟。2006年11月にNATO(北大西洋条約機構)経済委員会の秘密報告で、天然ガス市場の支配権確立を狙うロシアの主導により形成される可能性が指摘された。ロシアの天然ガス産出量は、07年末に6074億m3(シェア20.6%)、確認埋蔵量44兆6500億m3(同25.2%)でともに世界一とされる。天然ガスは、ヨーロッパを中心にパイプライン輸送網が発達し、長期売買契約で原油価格騰落の影響を受けにくい価格設定方式を採用しているため、価格調整が容易な短期契約も多い石油のように、カルテルが有効な条件は整っていないとされる。しかし、07年1月にイラン(07年末の産出量1119億m3[同3.8%]で世界4位、確認埋蔵量27兆8000m3[同15.7%]で世界2位)がロシアに提案したことから誕生の現実味が増すこととなり、08年12月のガス輸出国フォーラム(GECF Gas Exporting Countries Forum)閣僚級会議では、公式な国際機関の創設を目指す「憲章」が採択された。