2002年5月13日に成立した、1996年農業法に代わる新たな農業法(2002年農業保障・農村振興法)。適用期間は02~07作物年度の6年間、予算は02~11財政年度の10年間に配分される。予算規模は1900億ドル(約24兆円、当時)で、1996年農業法継続の場合の1070億ドルより77%、828億ドル多くなり、農産物輸出諸国から「他国には保護削減を強要する一方で、自らは世界最大の農業保護国になった」との強い非難がある。予算増大の背景となる具体的政策のポイントは、(1)生産調整を義務付けない新たな不足払い制度の導入、(2)ローンレート(最低保証価格)の引き上げと対象品目の拡大(放牧用小麦、雑豆等)、(3)固定直接支払いの継続と支払い水準の引き上げ、対象品目の拡大(大豆)、(4)1農場当たりの政府支払い上限は36万ドル(約4600万円、当時)であるが、実際は支払い上限なし、(5)環境保全政策を10年間で総額171億ドル、現行より80%の増額、など。96年農業法が目指した、政府助成を可能な限り削減する市場指向型農政の限界を示す結果となった。