サトウキビやトウモロコシなどの再生可能な植物資源(バイオマス)を発酵させ、これを蒸留してつくったエタノール。石油や天然ガスから作られる合成エタノールと化学的には同じだが、再生不可能な化石資源を原料にしているエタノールと区別して「バイオエタノール」と呼ばれる。バイオマスを原料としているため、大気中への二酸化炭素の排出がゼロカウントとなるカーボン・ニュートラルで、地球温暖化防止に役立つエネルギーとして注目されている。ブラジルではサトウキビから、アメリカではトウモロコシからバイオエタノールを生産しており、ガソリンの代替燃料として急速にその生産が拡大している。しかし、それが穀物価格の高騰を招き、輸入に頼っている国々の畜産農家、食品産業、消費者に大きな影響をもたらした(2006~08年)。また、栄養不足に苦しむ開発途上国等の食料を奪うことになり、栄養不足人口の増大がいまも懸念されている。