農業生産の基盤である農地を適切に確保し、その効率的な利用を図るため、耕作者の権利や農地取得・利用等に関する様々な規則を定めた法律。1952年に制定された農地法は、耕作者の権利保護を重視する耕作者主義に立脚し、同時に農地利用に厳しい制限を課していた。時代の変化に伴い、農地法は62年の改正を皮切りにたびたび改正されてきた。いずれの改正も農地利用に関する制限を緩和する性格を有していた。2009年6月に成立した改正の要諦は、制度の基本が農地の所有から利用に転換された点にある。これにより農地の利用権(賃借権)は大幅に緩和された。より柔軟になった下限面積条件の下、個人や農業生産法人以外の会社やNPO等の法人も、すべての農地の耕作、効率利用という要件を満たし、農地を適切に利用しない場合には契約解除、地域の他の農業者との適切な役割分担の下で継続的に農業経営を行うこと等を条件に農地の借り入れが可能となった。また、改正法では農地転用規制の厳格化とともに、農地の所有権・賃借権等の権利を有する者は農地の適正かつ効率的な利用を確保する責務があることが定められた。今回の改正が耕作放棄地や遊休農地の解消の一助になると期待されている。