2010年10月16~17日に新潟市で開催されたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の食料安全保障担当大臣会合。APECとしては初めてで、議長は鹿野道彦農林水産大臣が務め、APEC全21カ国・地域の食料安全保障担当閣僚等に加え、アジア開発銀行(ADB)や国連食糧農業機関(FAO)等の関係国際機関の代表が参加した。会合では「持続可能な農業の発展」と「投資、貿易及び市場の円滑化」において議論が行われた。その成果として、APECの共通目標を定めた「APEC食料安全保障新潟宣言」とその実現のための具体的な行動を定めた「APEC食料安全保障行動計画」が採択された。宣言では食料供給力の拡大、気候変動と天然資源管理への対応、農業投資の促進、農産物貿易の円滑化、農産物市場の信頼性の強化等が盛り込まれ、行動計画では加盟国・地域より提案された62項目におよぶ具体的措置が明記された。そのなかで、日本が提唱してきた、投資の負の影響を緩和し、受け入れ国政府、現地の人々、投資家の3者の利益を調和し最大化することを目指す「責任ある農業投資」(RAI)イニシアチブが支持されたことは日本にとって大きな成果であった。