2011年3月11日に発生した東日本大震災は東北地方を中心に東日本各地に甚大な被害をもたらした。農林水産省の公表資料によれば、同年12月26日時点で農林水産業関係の被害総額は2兆3554億円と見積もられている。主な内訳は以下のとおり。(1)水産関係は、漁船の損壊2万8612隻、漁港施設の損壊319漁港など、総額1兆2637億円の被害。(2)農業関係は、農地の損壊(流失・冠水など)1万7456カ所、農業用施設などの損壊2万1866カ所など、農地・農業用施設等の被害件数3万9322カ所、被害額8302億円に農作物・家畜などの被害626億円を加えた総額8928億円の被害。(3)林野関係は、林地荒廃429カ所、治山施設の損壊255カ所、林道施設などの損壊2632カ所など、被害件数3901カ所、被害総額1989億円。こうした被害がいかに巨大なものであったかは、その被害総額(2兆3554億円)が04年の新潟県中越地震による農林水産被害総額(1330億円)の約18倍、1995年の阪神・淡路大震災による同被害総額(900億円)の約26倍に相当するということからも明らかであろう。加えて、今後の福島第一原子力発電所事故に由来する二次的被害等を考慮すれば、被害総額がさらに増大することは間違いない。