2011年6月22~23日にパリで開催された、G20による初めての農業大臣会合。フランスのブリュノ・ル・メール農相が議長を務め、日本からは篠原孝農林水産副大臣が出席した。会合では食料安全保障の確保を目的として食料・農産物価格の乱高下への対処などについての議論がなされ、成果として「食料価格乱高下及び農業に関する行動計画」が合意された。行動計画では5つの目的が掲げられている。すなわち、(1)短期的・長期的な農業生産および生産性の改善、(2)市場の情報と透明性の改善、(3)国際的な政策協調の強化、(4)特に最貧諸国を対象にした、食料価格乱高下に伴うリスクを管理・緩和するためのリスク管理ツールの改善および開発、(5)農産物商品デリバティブ市場の機能の改善である。(1)については、2050年に90億以上に達すると予想される世界人口を養うため、農業生産を同期間中に70%、特に開発途上諸国ではほぼ100%増加させなければならないとし、小麦やアジア・アフリカでの米の増産と生産性の向上ならびに気候変動の適応や温室ガス削減に向けた研究開発の投資と協力などが重視されている。(2)については、農業・食料市場データの共有のための農業市場情報システム(AMIS)や地理情報に基づく農業生産モニタリングの自主的な国際ネットワークの設置、(3)については、重要な役割を担う国連食糧農業機関(FAO)の改革の完遂や迅速対応フォーラム(危機の際の会合)などが定められた。(4)については、緊急人道食料備蓄システム構築への支持、(5)については、適切な金融規制を伴う市場の規制および監督を改善するため、G20の財務大臣や中央銀行総裁が農産物に関する金融市場の規制および監督のための適切な決定を行うことを強く求めることが盛り込まれた。