漁業協同組合は地区漁協と業種別漁協に大別される。地区漁協はさらに沿海地区漁協と内水面漁協に分類される。ここでは最も話題になる沿海地区漁協を漁協として呼ぶ。
漁協の組織形態は協同組合である。協同組合は、組合員が事業利用目的のために出資して設立して運営する非営利法人であり、そのガバナンスは組合員自治が基本である。
漁協は、経営指導を行う指導事業、組合員の漁獲物を販売する販売事業、資材や燃油を組合員に供給する購買事業、貯金や貸し付けを行う信用事業など、水産業協同組合法で制限されている範囲内で事業を実施する。それらの事業はもっぱら組合員の漁業の営みと生活に奉仕するものである。事業の名称だけ見ると農協とおおむね変わりはないが、漁協は、農協のような経済事業団体として存立しているだけでなく、都道府県から漁業権の管理権限の免許を受けて、組合員である漁業者に漁業権を行使させる、漁業権管理団体としての機能も併せ持っている。これが漁協の最大の特徴である。
今日まで一貫して漁協の合併推進が図られ、1950年に3309あった漁協は2010年には1026にまで減少した。県一漁協(都道府県下の漁協が合併し、一つになった漁協)は9県に達したが、今なお事業基盤が弱い漁協が多数あり、今後も合併の推進が図られると思われる。