漁業権とは、沿岸部の一定の漁場区域内で漁業を排他的に営むことのできる権利のことである。漁業法では、共同漁業権、区画漁業権(養殖を営むための権利)、定置漁業権の、三つの漁業権を定めている。さらに漁業権は、都道府県知事からの免許方式の違いから二種類に分けられる。一つは漁協に管理権が与えられる組合管理漁業権である。漁協は内部で作成した漁業権行使規則に基づいて組合員に漁業権を行使させる。もう一つは直接経営者に免許される経営者免許漁業権である。
共同漁業権は一定の漁場区域を漁業者らが共同で利用し、共同で管理すべき小規模な漁業種に設定されるため組合管理漁業権である。区画漁業権、定置漁業権は一定区画の漁場を占有して一定規模の投資が必要であり経営者を特定する必要があることから、経営者免許漁業権となっている。免許者は漁業法上で定められた適格性を有していなければならず、免許申請者が複数になった場合は法に定められた優先順位に従って選ばれる。定置漁業権において優先順位が高いのは、漁協や地元地区の漁民が主体の漁民会社である。ただし、区画漁業権では、一定の漁場区域内で複数の漁業者が小規模に営むケースがあるため、その場合、共同漁業権と同じく組合管理漁業権となる。このときは特定区画漁業権と呼ばれるが、漁協が管理権を放棄すれば、区画漁業権となる。