2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波は、漁業および水産関連産業(水産流通・加工業、製氷業、運送業、造船業など)に甚大な被害を及ぼした。被害は北海道から沖縄まで全国に及び、漁業者の死者・行方不明者は878人(岩手・宮城・福島の漁協の組合員数)、被害総額は1兆2637億円に達した(12年2月8日水産庁公表)。全国の被害の内訳は、漁船が2万8612隻・1822億円、漁港が319漁港・8230億円、養殖関連(施設、養殖物)が1335億円、市場などの共同利用施設が1725施設・1249億円である。被害は漁船、漁港、養殖関連そして共同利用施設だけでなく、沿岸部に立地している水産加工業界にまで及んだ。被災した水産加工場数は、7道県(北海道~千葉の太平洋沿岸部)で2108、被害額にして1638億円である(全国水産加工業協同組合連合会調べ)。この数値はあくまで水産加工業者の建屋や設備の被害である。冷蔵庫などに保管されて被災した原料・製品在庫なども含めると、被害額はこの数倍に及ぶとされている。物流基盤である漁港の復旧に数年かかることから、サプライチェーンの再構築にはかなりの時間を要するとされている。その上、東京電力福島第一原子力発電所の事故からの原発災害は、福島県内外の水産業界に広く及んでいる。原発災害も含めると漁業・水産関係への被害は未知としか言いようがない。