国や地域における漁業構造や動態を整理したり把握したりするために漁業を大別した部門のこと。日本では、漁業部門はまず海面と、湖沼、河川、ため池などの内水面とに分けられている。さらに、海面については、(1)沿岸漁業、(2)沖合漁業、(3)遠洋漁業、(4)養殖業、の4部門に分けられている。これらの分類を漁業部門と呼んでいる。それぞれの定義は次のようになっている。(1)沿岸漁業とは、漁船を利用しない漁業、無動力の漁船を利用する漁業、船外機を搭載した漁船を利用する漁業、定置網漁業、地びき網漁業そして排水量トン数が10トン未満の動力漁船を使用する漁業のことを指す。(2)沖合漁業とは、排水量トン数が10トン以上の動力漁船を使用する漁業で、かつ遠洋漁業に属さない漁業のことを指す。(3)遠洋漁業は、遠洋いか釣り漁業、遠洋かつお・まぐろ漁業、海外まき網漁業、以西底びき網漁業、遠洋底びき網漁業などであり、漁業種が特定されている。(4)養殖業は海面または陸上において設置した施設に海水を使って水産動植物を集約して育成し収穫する事業のことである。以上の部門は、「漁業センサス」や「生産統計」など、政府が行う統計調査の方法に基づく分類である。遠洋漁業と沖合漁業とを便宜的に分類する基準として、操業海域が排他的経済水域(EEZ)の内側にあるか、外側にあるかといった見方もあるが、これは厳密な分類方法ではない。