2011年10月5日、水産庁は「東日本太平洋における生鮮水産物の産地表示方法について」として、回遊性魚種と沿岸性魚種とに分けて産地の表示方法を産地および流通業界に対して指示した。この指示については、法的拘束力は無いが、東日本大震災において発生した東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う放射能の飛散を受けたものであることから、事実上この表示は義務づけられた。この指示の第一の狙いは、複数の水域をまたがって回遊する魚種が、水揚げされてから流通する際に、どの県の沖合で獲られたものなのかをはっきりさせるところにあった。01年4月からすでに、全ての食品においてJAS法で品質表示が義務づけられており、水産物の原産地表示については、国産の場合「生産水域名」の表示を基本としている。にもかかわらず、このような指示が出されたのは、生産水域が特定できない場合、「水揚げ港名」や「水揚げ地の都道府県名」の表示でも許されており、ほとんどの場合、産地表示は水揚げ地の都道府県名が採用されていたからである。