2006年秋ごろから08年9月までの国際穀物価格の高騰、10年夏ごろから11年初頭までの国際食料価格の再高騰、12年のトウモロコシ・大豆の史上最高値更新等、2000年代後半以降、国際食料価格は経年変動を示しつつも、中長期的にみて高い水準で推移している。食料価格の中長期的高水準は、中国やインド等の新興国での飼料穀物需要の増大、アフリカ等の途上国での人口増大、バイオ燃料の原料需要の増大等の需要サイド、地球規模の気候変動、農地・水資源等の大規模新規開発の消滅、砂漠化に代表される農地の劣化、燃料・肥料等の農業生産資材の価格上昇等の供給サイドにかかわる複数要素に起因している。短期間で生ずる価格乱高下の主因は、需要および供給の価格弾力性が小さいという食料の特性と、輸出量が少数の国に集中しているという国際穀物貿易構造にある。このため、主要輸出国での天候不順の発生等の短期的ショックが大きな価格変化を引き起こしてしまう。また重要なのは、投機マネーの流出入によるかく乱である。本来的に価格変動が大きいという性質をもつ国際食料市場は、機関投資家にとって価格差益を得る格好の投資先になっているのである。