新規就農とは、新たに農業に従事する行為を意味する。新規就農は、(1)農家世帯員で新たに自営農業への従事を主とするようになった新規自営農業就農、(2)法人等に雇用されることで農業に従事することになった新規雇用就農、(3)土地や資金を独自に調達し農業経営を開始した新規参入、という3形態に分類される。近年、基幹的農業従事者の高齢化の進展のなか、将来の日本農業の担い手となる青年新規就農者の定着が求められている。また長引く経済低迷により厳しい雇用状況が続くなか、農業が法人雇用を中心に新卒者の就職選択先として期待されている。こうしたなか、新規就農者確保事業をはじめ、政府や地方自治体による新規就農支援事業が実施されている。しかし実際に、新規就農者の中核をなすのは、60歳以上の新規就農者であり、就農形態別では(1)の新規自営農業就農者である。これは、新たに個人で農業経営を開始する困難さを反映している。農地取得、資金調達、農業技術の取得、農産物販売先の確保等、農業経営を開始し定着するためには克服すべき様々な課題が存在している。