国内の食料供給力のこと。民主党政権発足以前の自民党政権下の農政(「2005年食料・農業・農村基本計画」以後)において前面に打ち出された用語である。民主党政権下では用いられていなかったが、自民党が政権復帰した後、農政において再び重要視されている。食料安全保障の観点からみると、食料自給率は国民の人口構造や消費性向の変化に影響を受けるため、必ずしも適切な指標とはいえない。むしろ国全体でどれだけの農業生産力があるのか、不測時にどれだけの国民を養えるのかという意味をもつ食料自給力が重要となるとの考えにより用いられている。食料自給力の強化には、国内農業生産の基盤となる農地・農業用水、担い手、農業技術等の確保が求められ、水田の有効利用とセットで論じられることが多い。コメ消費の低迷を背景に、水田総面積約250万ヘクタールのうち主食用水稲の作付けは約6割に過ぎない。残りの4割では転作畑作物等が作付けられているが、湿害等の影響で不作地または耕作放棄地になっているところもある。そうした水田をコメ粉・飼料用米等の作付けにより有効に活用することが、食料自給率の向上につながると期待されている。