担い手への農地集積の迅速化を図るため、農地利用の権利移動(農地流動化)において中間的受け皿となる機構。農地集積バンクとも通称される。具体的な基本業務は、都道府県段階で、分散・複雑化している農地を整理し、担い手に集約化する必要のある場合や、耕作放棄地を含め受け手が見つからない場合に、農地を借り受け、必要ならば基盤整備などを行い、適切な受け手が見つかるまで農地として管理すること。従来の農地保有合理化法人が担ってきた役割に農地の基盤整備を行う権限を付与することにより、農地集積を積極的に推進し、今後10年間で担い手の農地利用が全農地の8割を占める農業構造を実現することを目標に掲げている。賃貸に加え信託等による農地流動化も可能となる。ただし、農地保有合理化法人が行っていた売買を通しての農地流動化は行わない。農地利用の権利移動は、出し手(貸し手)と受け手(借り手)の条件の違いにより円滑に行われないことが往々にしてある。機構は、地域内の農業者の徹底した協議を通して農地市場におけるミスマッチを解消し、必要に応じて基盤整備などを行うことで、担い手への農地集積を促進させる役割を担う。機構の仲介による農地集積の加速化が土地利用型農業の生産性の向上や耕作放棄地の解消に貢献することが期待されている。しかし、他方、農地流動化の促進において現場の事情が十分反映されないことを懸念する声もある。