2006年に、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド間で締結された自由貿易協定を広く環太平洋地域全体に適用させようとする自由貿易協定の一種。13年7月に日本が交渉に参加し、12カ国で協議が進められている。TPPでは、第一に、例外なき関税撤廃・非関税障壁の撤廃による自由貿易の促進が、第二に、金融システムや知的財産の保護、海外企業の参入など国際通商ルールの統一化が目指されている。日本国内では、農産物貿易に関する関税撤廃が大きく論じられているものの、金融、医療、製造、労働等、広範な分野における交渉が展開されており、国民生活全般への影響が想定されている。TPPへの交渉参加に際して、コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物等の重要5品目の関税撤廃の除外や残留農薬・食品添加物の基準、遺伝子組み換え食品の表示義務等の食の安全・安心の確保を含め、これらの「聖域(死活的利益)」の確保ができない場合には交渉脱退も辞さないことを、13年4月に国会決議として表明している。その後の度重なる交渉にもかかわらず、14年12月現在、知的財産、原産地表示、農産品を巡る関税などの項目で交渉参加国間の対立が大きく、大筋合意は得られていない。