IUU漁業とは、違法(Illegal)・無報告(Unreported)・無規制(Unregulated)の状態で行う漁業のことである。一般に資源管理措置を無視して操業している漁船のことを指している。FOC(Flag of Convenience)船とは、便宜置籍船(所在国とは異なる国に籍を置く船)のことを意味する。商船の場合は、節税を目的に先進国の船主が優遇税制措置のある国に船籍を置くが、漁船の場合は、国際的な漁業規制から逃れることも目的にして地域漁業管理機関に加盟していない国にペーパーカンパニーを設立して船籍を置く。そうすることによって、地域漁業管理機関が管轄する公海水域でも規制の枠組みから外れて自由に操業できる。過去、廃業や国際減船によって手放された日本の遠洋マグロはえ縄漁船が台湾資本に買い取られ、FOCマグロ漁船になるというケースが多く見受けられ、1990年代に急増する。IUU漁業を繰り返すFOC漁船の増加と資源危機を背景に、国際協調が図られるようになった。93年11月に「公海上の漁船による国際的な保存・管理措置の遵守を促進するための協定(フラッギング協定)」がFAO(国連食糧農業機関)において採択され、2003年4月24日に発効している。また、1995年8月には国連公海漁業協定が採択され、2001年の本協定発効後、公海水域においては未加盟の便宜置籍国でも管轄の地域漁業管理機関に従う義務を負うことになった。2000年代に入って日台民間協定でFOC漁船(日本の中古船)のスクラップ減船を行った。こうした国際協調や先述の国際規制が強まるなかで、FOC漁船はかなり減ったと見られているが、IUU漁業の撲滅には至っていない。