当該水産物が生態系や資源に優しい漁業によって漁獲されたものかどうかを消費者に示すトレードマーク。基準の管理者によって定められた基準を審査によってクリアした漁業者に与えられる。また、水産物は、漁業者から流通・加工業者、小売業者を介して消費者に渡るため、漁業の認証制度と併せて、水産エコラベル商品を取り扱うことのできる流通・加工業者や小売業者に対しても認証制度が存在する。水産エコラベルは、対象国を限定していないものから対象国や地域、そして業種を限定しているものまである。その嚆矢(こうし)は、1997年に設立したMSC認証である。MSC(海洋管理協議会 Marine Stewardship Council)は、FAO(国連食糧農業機関)において採択されている「責任ある漁業のための行動規範」(95年)と「エコラベルのガイドライン」(2005年)、国際社会環境認定表示連合の「社会環境基準設定のための適正実施規範」、WTO(世界貿易機関)の「貿易の技術的障壁に関する協定」に準拠して、認証基準を設定する機関であり、実際に審査・認証を実行しているのはこれとは独立した認証機関である。ただし、認証機関は、ASI(Accreditation Services International GmbH)という認証機関を認定する機関(ISO17011)から認定を受けていなければならないことになっている。こうしてエコラベルに必要な中立性、独立性、透明性が確保されている。日本も含む世界各国で認証数は急増している。水産エコラベルが普及している背景には、生態系に対する漁業者の責任を問うだけではなく、そこへの消費者の参加を促す狙いがある。なお、日本国内には07年に発足したMELジャパン(Marine Eco Label Japan)がある。